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『劇場版SPEC ~結〜爻ノ篇』  Way to another close story 4 [SPEC]

坂道のある住宅街、坂の上からは凪いだ海が見えている。

幼い女の子が母親に手を引かれ坂の上から歩いてくる。
2、3歳というところだろうか。
雲のような形の風船を右手に持ち、
左手では舞い落ちる桜の花びらを捕まえては、はしゃいでいる。

桜の花びらを運ぶ悪戯な春風の仕業だろうか?
少女の手にした風船が宙に舞いあがる。

風船は、大空に飛び立つのを桜の木に止められて、
危なげに枝に引っ掛かりながら、時折ふわふわと揺れている。

「ママ...」
少女の澄んだ瞳に溜まった涙は、今にもこぼれ落ちそうである。


坂を上ってくる人影が二つ。
まだ、少しあどけなさが残る学生服姿の少年と
やけに姿勢の良い男は少年の父親であろう。

父親の手には色合いの控えめな花束。
少年が手に下げた小さな紙袋からは線香やロウソクの箱が覗いている。
墓参りにでも行くのだろうか。

少年がふと空を見上げると、
淡い花を伴った桜の木の枝に
風船がゆらゆらと今にも飛ばされそうに引っ掛かっていた。

傍らに目を遣れば困り顔の母親と
半べそをかいた幼い少女の姿。

少年は考える間もなくその木に手を駆けると器用に登っていく。
枝に絡まる糸をほどき風船を手に取る。
弾むように、トン! と地面に降りて、
少女の前にしゃがみ込む。

「はい。もう離しちゃだめだよ」
と少女の顔を覗き込み、少しはにかんだ笑顔を浮かべた。

少年は少女の手を包み込むようにぎゅっと風船の端を握らせる。

「うん」
ニカッと笑う少女の無邪気な顔。

可愛い。と思うと同時に
「ん?」なんだか懐かしい...、と思う自分に少し戸惑った。

「沙綾、お兄ちゃんにありがとうは」と母親に促され

「お兄ちゃん、ありがとう。はい、これ」
と小さな手のひらを開く。

「ありがとう」と
そこにあった桜の花びらを少年は優しく受けとった。


「焚流、行くぞ!」
少年の父親が軽く少女の母親に頭を下げる。

今度は少女の母親が頭を下げ、二人を見送る。

「ばいばーい、またねー」
力いっぱい、手を振る少女。

「またねー」と少年が手を振り返す。

そして、少年は少し先で待つ父親のもとへと急いだ。

「また会えるかな?」
少女にもらった桜の花びらを大事そうに見ている。

「お前が会いたいと思っていれば、いつかきっとまた必ず会えるさ」

「うん」
少年が、そう言って後ろを振り返ると
少女はまだそこにいて、少年の後姿を見送っていた。

「必ず会える」
もう一度振り返ると、そこにいたはずの少女の姿はもうなかった。

それは、春の陽炎か? それとも桜の木が見せた幻影だったのだろうか?
いずれにせよ、この少年と少女がが再び出会うのは、まだ少し先のことである。

新緑が柔らかな春の日差しを受けキラキラと揺らめいている。
春風に散っては舞い遊ぶ桜の花びらたち。
優しく優しくささやくように――。

I always CLOSE to you.
(いつもあなたの近くに...)
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長くてすみません。やっと終わりました。
これで、デフォルト状態になったというか...。
こうなったら、再会からその後の展開は自由自在ですねぇ。
「もし出会いが違っていたら、何か別の...
 愛だの恋だのといった感情が芽生えていただろうか。」
はい、もうね愛だの恋だの妄想し放題! \(^o^)/
続き・・・どうなるんでしょう?
んなもん、需要ないですよね。 (-_-;)

それより、『宿命の二人』なら、前世でも出会ってそう。
そっちの方が面白いかも? ( ̄ー ̄)


ところで、天涯孤独な瀬文さん。
お正月をどうやって過ごしてたんでしょう?
(警察官なんで、正月休みなんてねぇよ! というのは置いときまして)

志村さんが生きてた頃は、美鈴ちゃんと三人で初詣に行ったり、お雑煮食べたりしてたのかな?

その後は、きっと独りぼっちだよねぇ。(涙)

今年のお正月は当麻と二人で楽しく過ごしてくれてればなぁ、なんて。
とりあえず、二人が幸せならいいなと思います。(はい、妄想好きですから)

当麻にデレデレ激甘な瀬文さんが見えるようです。
ま、本人はさっぱり自覚ないんでしょうけどねー。(笑)


では、また。


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