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be with you [あなたと一緒に] 5 [SPEC]

「よう、久しぶり」
そう言って入ってきた里中さんは、今でもSITの隊長をしている。

そこで俺の元気の元だと見せられたのは
奥さんの小百合さんと愛娘の梨花ちゃんが写ってる写真だ。

「結婚はいいぞ、お前も早いこと家庭を持て」
あの鬼軍曹の里中先輩とは思えない言葉に驚いたが、

もっと驚いたことに、一人で親子丼を11人前も喰ってやがったヤツがいた。
大体、何なんだ!
よりにもよって、何であの店にいるんだ!
お前は、餃子だろ、餃子!
一人で死ぬほど、餃子食ってろ!
何で、昨日に限って親子丼なんか食ってやがる!
言うに事欠いて、カラスの勝手でしょ! とはなんだーーー!!

しかも大声で喧嘩したせいで、
「誰だこの子?」と里中さんに見つかってしまい
「知りません」と言ったものの

何がどうするとこの当麻と気が合うのか

「当麻ちゃん、今度うちに遊びに来ないか」
里中さんは妙にご機嫌で誘ってるし

おめぇも「いいっすね、行くっす」
とか、言ってんじゃねぇ!

さらに、遅れてきた志村に色目使って奢ってもらうとか
ありえねーだろーがぁ~!!

俺は、先輩と志村に話があったんだ、ったく邪魔しやがって!

「当麻ちゃん、またね」と言う先輩には

「お疲れサマンサですぅ~♪」とぶりっこポーズで返し

「当麻さん、遅らせて下さい」と言う志村には

「あ~ん、紗綾うれし~い♪」などと、微塵もない色気を最大限に振り絞りやがって

俺はおいてきぼりか?
てか、何ならむしろ邪魔かよ!
おかげで飲みすぎたじゃねーか!

「あの娘、お似合いじゃないか」という里中先輩に
「だとしたら撃ち殺して下さい」と言ったのは嘘じゃない。

「本気でさ、お前も考えてみろよ」
「普通の人生、普通の幸せってやつをさ」か...。

考えてない訳じゃない。
もし、あの当麻にもう一度出会えるなら...それもいい。

「何を悩んでるか知らないが、過去は過去、
 前を向いて歩いてあるいていかないとお前の人生がやべぇからさ」

瀬文は里中の言葉を思い出し、盛大に大きなため息を吐く。

「やってられるか!」

くっそー、あったまイテェ~。
見れば見るほど、目の前の餃子女に腹が立ってくる。


少しずつこの世界に順応してきているのか記憶が曖昧になっている。
昨晩と同じような光景を以前にも見たような気がするが、
デジャブーか?
それとも、過去とどこか似たような時間をまた繰り返しているのか?
何か同じで、何かが違う。

それとこれはまぁ、あれだあくまでついでの話だが
里子の日本語が若干流暢になっている。
そして、妙に、いや無駄に色っぽくなってる気がする。
だからと言ってそれがどうしたというレベルではある。

呪術師がどうの、超能力がどうのといった事件が起きても
スペックというワードが出てくることはない。
この世界にスペックというものが本当に存在しないのか、
見えてないだけなのかそれは今はわからない。

因みに冷泉は詐欺まがいのインチキ祈祷師でサトリはなんと冷泉の助手をしていた。
さすがに海野が自分の主治医だったのには驚いた。
地居のヤローだけは、今度どこかで出会ったら、
絶対に何らかの理由を付けてぶん殴ってやろうと思っている。
1000年どころか、無間の孤独に沈んでやがれ!

俺が来るまでは吉川と当麻の二人でそれなりに仲良くやっていたようで
今では、それなりにどころか寧ろかなり仲が良い。
あくまで、まれに、ほんのちょっとだが、
スキンシップのしすぎだろー、と思うことがないでもない。

当麻自体に可愛げがないとか、餃子臭いとか、魚顔だとか、ブス!なのは同じだが、
喧嘩をしてもどこか本気ではないような気がするし
殴り合いの喧嘩の数も減っている。
餃子を奢れだの、タクシー乗りたいだの我儘もあまり言ってこない。

当麻との関係は、あの世界のそれと同じに見えてやはりどこかが違う。
いつも一緒に前を向いて歩いている相棒には違いないし、
刑事としての絆はそれなりにあるつもりだが...。
あいつが、どこかで俺を避けているように感じる。
きっと左手の分だけ距離が遠いのだ。





ねぇ、瀬文さん。
「愛の反対は、憎悪ではなく無関心」ってマザーテレサの言葉知ってる?
好きの反対が無関心なら
嫌いの反対も無関心。
そんだけ、当麻に関心があればきっと大好きだと思うんですけどねぇ。(笑)

では、また。
タグ:SPEC 瀬文 当麻
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