SSブログ

be with you [あなたと一緒に] 21-2 [SPEC]

『とうまー!』

瀬文の心の叫びに呼び覚まされるように当麻が意識を取り戻した。

『・・・うっ』

後頭部に痺れるような痛みが走るが、抉じ開けるようにして重い瞼を開く。
ぼんやりとした景色がはっきりとしたものになってゆくと目の前の光景に息を吞んだ。

当麻の目の前に飛び込んできたのは、見知らぬ青年と
自分のこめかみに銃口を突きつけている瀬文の姿だった。

「瀬文さん・・・?」

声を発するのと同時に駆け寄ろうとして身動きできない自分に気がついた。

そして、もう一人の男の顔を見てさらに大きく目を見開いた。

さっきまで見覚えのなかった青年の顔の下から現れたのは、忘れる筈もない男の顔だった。

「セカイ!」

――ん? セカイ? 何故、当麻がこの男を知ってる?

「なんで、おまえがここに?」

「さあな」

セカイは相変わらずの薄笑いである。

「てめぇの狙いはあたしだろうが! 瀬文は関係ない!」

興奮する当麻に対して、セカイは相変わらずの薄笑いである。

「関係なくはないだろう。瀬文はゲームの大事なコマの一つなんだからさ。
 憤怒、wrath、狼、天涯孤独の男。どうだ、ぴったりの人選だろ?」

「で?
 8つ目の罪とされる『正義』・・行き過ぎた正義はあたしのことってか?
 そんなら自分の考えが絶対に正しいと思い込んでる、てめぇもだろうが!」

「いい度胸だ。褒めてやる」

「ぐっ・・・くそっ・・・」

身体を動かそうとして身をよじる度に、縛られている所が一層の熱を帯びる。

「殺したきゃ、あたしを殺せばいいだろ!
 血の果てだろうが、地獄の果てだろうがつきあってやる」

「でもその前に青池さんの居場所を教えろ!」

「青池里子・・・なら、ここだ」

何かのデバイスを取り出し画面を軽くタップして見せる。

「一つの罪一つのペアが完成するごとに爆弾を一つ仕掛けた。
 青池里子は最後の爆弾と一緒だ。
 このスイッチ一つで起爆装置が起動する。一つ試しに起動してやろうか?」

「やめろ! このうすぎたない犯罪者が!」

息を荒くした瀬文がいきなり叫んだ。
引き鉄を引こうとする自分の右手を左手で抑え込んでいる。

「あらら、びっくり」

驚いたというよりはもはやセカイは呆れ顔である。

「マインドコントロールなんてもんは俺には効かねぇ! 俺の精神力をなめんな!
 お前は一体、何がしたい?」

セカイの顔を覆っていた微笑が消えた。

「今回は人間の身体を持ってみて人間がどんなに愚かで滑稽な生き物なのか更によく分かったよ。
 今この時も、懲りもせず戦争だテロだのと殺戮が繰り返されている。
 所詮、絶望と崩壊に向かっている。このスイッチを押さなくても、いずれこの世界は終わる」

言い返えせない真実に当麻が悪態をつく。

「どうやって甦ってきた、このゾンビ! 地の底へ帰りやがれ!」

「おいおい、当麻だけには言われたくないぞ。寧ろ『神』とでも呼んで欲しいね。
 お前こそ、もう一度地獄へ堕ちろ!
 お前が消えても、何事もなかったかのように時は流れていく。
 お前は永遠に存在しなくなる」

「お前は神なんかじゃねぇ、だから俺はお前を殺す!」

瀬文は今にも爆発してしまいそうな怒りを鎮めるように大きく息を吐いた。

「確かにこの身体なら殺せるが・・
 そんなことをしたら、青池里子は死に、東京は火の海だ。
 それが嫌なら、俺ではなく当麻を殺せ!」

「今、再び当麻を撃て!」

嘲笑うようなセカイの声が闇夜に響く。 
nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 2

igara

すっげ~…。
ここは息をひそめて、大人しく続きを待ちます。(笑)

by igara (2014-03-14 10:41) 

とんとん

捏造、凄すぎましたかねぇ。(-_-;)
セカイは飛び道具ですもんね。

最終的な結末(結婚式)が分かってるから
あんまり危機感煽られないかもですよね。
う~ん、書く順番間違ったかな~(笑)
by とんとん (2014-03-19 23:58) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。